コラム


第3回 インターネットの光と影


4.インターネットにおける情報発信

(1) 情報発信の多種多様化

パソコン通信に萌芽があり、インターネットで爆発的な変化をみせると思われるものに情報発信の多種多様化があります。従来、広い範囲へ何らかの情報を発信しようとすれば、政治権力かマスコミを利用するしかありませんでした。一人一人の意見や考え方がいかに素晴らしいものであっても、政治権力やマスコミの意思に沿わないものは、取り上げられることはありません。公共の福祉という正当な目的はあるとしても、政治権力が歪んだ時やマスコミがもうけ主義に陥った時、正しい意見が実質上抹殺されるおそれがありました。住専、エイズ、TBSと続々と現れた問題が、そのことを示しています。優れたアイデアや商品についても、マスコミに広告するための大変な資金がなくて、埋もれてしまったものもあるでしょう。


インターネット上での情報発信や広告のコストは、従来のメディアにくらべて極めて安く、また直接多数の人に伝わる可能性がある点で、マスコミやミニコミとは全く違った方法です。フランスの核実験反対署名をインターネットで呼びかけたところ、多数の署名が短期間に集まったそうです。オウム真理教がその布教に、パソコン通信をうまく利用したことは、逆の例でしょう。


情報発信者と受信者が直接結びつき、受信者がいつでも発信者になれるということは、今後、想像以上の新しい世界を作るかもしれません。情報の洪水を権力や金で整理するのではなく、情報の力そのもので整理されていく方法が見つけ出される必要がありそうです。


実際には、無数にあるホームページの中から、自分に必要なものを捜し出すことは時間と労力がいります。提供されている検索用ソフトを利用するか、マスコミ等に紹介されるホームページのアドレスを利用することから始めるのが普通です。各ホームページには関連するホームページへのリンクがつけられていることが多いので、それをたどりながら、これはと思うホームページを自分のコンピュータに登録しておきます。ホームページのほとんどが英文であった時代もありましたが、今では日本語のホームページも多くなり、利用しやすくなっています。


広報活動が重要な仕事である公益法人にとって、このようなインターネット上の情報発信をいかに利用するかという問題は、避けて通れない問題だと思われます。現状では「公益」というキーワードで検索しても、20件位のホームページしか見つからないのは残念なことです。システムデザイン・マキ(満喜株式会社)では、インターネット接続、ホームページ作成のお手伝いをしておりますので、ご連絡下さい。


(2) 終わりに

京都の町が汚くなったということがあちこちで言われています。私自身も進んで京都に立ち寄りたいと思わなくなっています。青年時代までの生活に結びついた風景を持たない人々が町を考えていってしまったように思います。


渡月橋の近くに吉本新喜劇の役者の鼻毛を強調した看板が建てられて、さすがに批判を受けて撤去されるということが数年前にありました。しかし、その看板以前に、あたりに立ちならぶタレントショップが、すでに嵐山の私にとっての風景を破壊していたという思いがあります。嵐山だけでなく、バブル以後、京都全体の街並が昔のバランスを失ったことは、残念です。長い歴史をもつ京都の町衆の底力に期待したいと思います。


インターネット上の空間はあくまで仮想上のものです。しかし、今後、その住人にとっては、生活と結びついた風景がその上にあらわれ、消えていくことになるのでしょう。そのような世代が構築する仮想空間がどのような変遷をたどるのか、見続けていきたいと思います。



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